現状の自分が間違った方向に進んでいたとしても、
自分が生きて行くためには止むを得ない、ということが世の中にはあるかと思います
あるいは、様々な仕事上の利益、それも大きければ大きいほど、
「自分は間違っているかもしれない」と言う意識は薄れて行き、
それに慣れてしまうと今度は間違っていることすら分からなくなる
自分の歩んでいる道は正しいのだという意識に変化してきます
「面倒をみてもらっているのだから仕方がない」というのが生前の母が良く言っていたことでした
億単位の預金や預り金を兄や姉に使い込まれてしまったけれども自分が生きていく上では仕方がないと言う主張でした
恐らくこの意識に母が変化した時、すべての母の財産は兄は自由に使えるようになったのでしょう
「もうやらないよ」と兄の使い込みに関して母はよく言っていましたが、
最近の母の口座の調査で、数億円の預金を使いこまれ、賃貸マンション一棟を無断売却された後も、
兄は預かっている母の通帳や印鑑をキャッシュカードを使用して、まるで自分のもののように、頻繁に多額の現金の引き出しをしていたことが分かってきました
「もうやらないよ」という母の声がときどき私の脳裏で陽炎のように繰り返し聞こえます
そこには年老いた自分が生きて行く上には兄を信じるより外に道はない、という意識が見え隠れしていたような気がします